女性にとって毎月の憂鬱の元である生理ですが、ただ単にイライラしやすくなったり、生理用品の取り換えなどの手間がかかる事を面倒に感じているだけではないとされています。

それは生理中は下痢になりやすいという問題点が理由であり、もちろん個人差はありますが女性は生理中には下痢の症状を起こしやすいので悩む方が多い事から、下痢の原因を突き止め対策する事が重要です。

生理中に下痢になりやすい原因は?

生理中に下痢になってしまう原因は大きく分けて三つになり、一つは「月経前症候群」でもう一つは「月経困難症」であり最後の一つは「元々腸に問題がある」という三種類が考えられます。

まず月経前症候群が原因で起こる下痢ですが、生理前は胃腸の働きを鈍くする作用を持つ黄体ホルモンが大量に分泌されるようになっており、この時期はどちらかと言えば便秘になりやすいです。

しかし、排卵後から生理までのおよそ2週間の期間に下痢になるというケースもありますし、生理が始まる寸前で急に下痢になるというケースも見られ、これは黄体ホルモンの水分代謝に対する作用や自律神経のバランスが乱れてしまった事が原因とされています。

自律神経というものは「交感神経」と「副交感神経」のバランスを保つ働きがありますが、胃腸の働きや心臓の動きなど実に様々な臓器の機能をコントロールしている神経です。

その為、バランスが乱れてしまうと消化吸収を助ける「副交感神経」の働きが弱まり、消化機能が低下してしまうので結果的に下痢になったりする他にお腹が張りやすくなったりというケースもあります。

次に月経困難症が原因で起こる下痢についてですが、こちらの場合は生理が始まって早いうちに腹痛と共に下痢になるというパターンが多く見られ、この腹痛は子宮内膜から放出される痛みの伝達物質である「プロスタグランジン」です。

このプロスタグランジンは痛みを伝えるという働きだけではなく、胃壁や腸壁を刺激して動きを活発にする作用がありますし、血管の壁にも影響を及ぼし血管を収縮させる事もあります。

その為、生理期なると下腹部を中心とした子宮周囲に痛みを感じるようになりますし、その他にも吐き気や頭痛、腹痛に下痢・といった随伴症状が見られるようになりますので、生理中の下痢はプロスタグランジンが影響していると言えるのです。

また、プロスタグランジンが原因で起こる下痢の場合、ほとんどは生理痛が酷い時期と重なっている事が多いので、主に生理期間の前半辺りに見られるようになり、生理痛に加えて下痢と腹痛も感じるようになる事から、この期間中は寝る事すらままならないという方もいらっしゃいます。

そして、腸の疾患が原因である場合ですが、こちらは「過敏性腸症候群」や「潰瘍性大腸炎」など、元々腸に何らかの疾患がありそれがベースとなって症状が生理前や生理期に悪化するというケースです。

この場合、根本的にはベースとなる疾患を治療する事が重要ですが、明らかに生理周期に伴って症状が悪化するのであれば、婦人科的な治療を行っていくという対処法もあります。

なお、元々生理痛が酷く生理期になると下痢に加えて血便も出るという場合は、あまり可能性としては高くはありませんが、まれに「腸管内膜症」を発症している事がありこの時にはできる限り早く医師の診察を受けた方が良いです。

腸管内膜症は子宮以外の場所に「子宮内膜」の組織ができるという病気ですが、腸壁に内膜組織ができると生理のたびにそこから出血するようになり、生理期になると腸管の壁から出血して腹痛と血便が起こります。

したがって、生理中に下痢と血便が見られた場合には自己判断せず、婦人科で医師の診察を受けキチンと治療をしていくことが大事だと言えるのです。

生理中の下痢を和らげる対策方法は?

生理中に下痢になってしまい、腹痛が辛い場合の対策として最初に挙げられるものは「対症療法」になるとされ、これは整腸剤や腹痛に対する漢方薬を服用する事もあれば一時的に下痢を抑える為に下痢止めを飲むと言う行為も含まれます。

また、上記のように生理中の下痢の原因として「プロスタグランジン」の影響が考えられる事から、市販されている生理痛の鎮静作用のある薬も有効となり、その様な薬に含まれる痛み止め成分にはプロスタグランジンの分泌を抑える作用がある事が多いです。

その為、急に腹痛や下痢の症状が出て病院に行くこともできないといった場合には有効な手段となっており、これらの薬を薬局の薬剤師さんと相談して使っていく事も悪くはない選択になります。

ただ、生理中でも水のような下痢が何度も出る場合や腹痛だけではなく発熱を伴っている時には、その下痢は生理とは関係ない症状である可能性が非常に高くなり、微熱であっても熱が出ている場合は下痢を止めてはいけないこともあるのです。

また、下痢に伴う腹痛は主に腸の動きが普段より活発になる事で感じられますので、外出先なら携帯型のカイロを貼ったり自宅の場合は湯たんぽや電気あんかを利用する事が良いと言われています。

別に温めたからといって腸の動きが改善するわけではないのですが、温めて血管が拡張されれば痛みが軽減する事がありますので、下痢による腹痛が辛くて耐えられないといった際には下腹部や腰回りを温める事が良いです。

さらに、下痢による脱水症状を防ぐこともポイントになっており、こちらは温かい飲み物を少しずつこまめに飲む事が良いとされ、冷たい飲み物や食べ物は下痢や腹痛を悪化させてしまう可能性が高くなります。

生理中の下痢は事前に予防対策出来るの?

生理中の下痢はなってしまった場合の対処法も大きなポイントになっていますが、それ以上にできる限り下痢の症状が起こらないようにしておく事が大切で、どちらかと言えば対策よりも予防に力を入れた方が良いと言えます。

まず最初に挙げられる予防方法としては、サプリメントを活用すると言う物になり市販されている乳酸菌やビフィズス菌などが含まれたサプリメントを有効活用すれば腸内環境が整いやすくなるので下痢予防になる可能性は高いです。

また、市販されている腸内環境を整える薬なども良い選択になると言え、規定量を守って服用すれば医師の処方も必要無い事から比較的安全で手軽に利用できる予防方法と言えるのです。

ただし、上記の様な乳酸菌サプリメントの多くは「乳成分」が含まれていますので、例えば乳製品にアレルギーを持っているような方は使用できません。

しかし、病院向けのサプリメントメーカーやアレルギー専門店などであれば乳酸菌の含まれていないサプリメントを扱っていますので、乳製品にアレルギーを持っている女性は一度損談してみる事がオススメです。

そして、漢方による下痢予防も可能になっており、こちらの場合は自分で市販薬を購入しても問題はありませんが、できれば症状や体質などに合わせて処方してもらった方がメリットは大きくなります。

したがって、漢方で生理中の下痢を予防するのであれば、漢方専門外来や消化器内科及び婦人科で相談をしてから処方してもらったり、漢方専門の薬局でも体質を見ながら調合してもらうのも良い選択です。

なお、漢方の場合は薬の効能などが最も重要視されるポイントではありますが、長期的に服用を続ける事が大切になりますので、利用のしやすさや金額も考慮して選ぶ事が重要になります。